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3. 洲本市南部地域における環境管理システムの検討

3.1 環境管理システムの基本方向

洲本市南部地域の環境管理システムを考えるにあたっては、残すべき地域の人々と環境、回復すべき地域の人々と環境、改善すべき地域の人々と環境、新設すべき地域の人々と環境の関わりの再評価を行わなければならない。Table2に、洲本市南部地域における人々と環境の関わり再評価の結果を示す。

Table 2 Desirable participation of people living in Yura

評価の項目 地域の人々と環境の関わりの内容
残すべき

地域の人々と環境との関わり

成ガ島における潮干狩り

海と山が日常的に感じられる生活空間(海や山が見える場所、施設)

海や山と密接に関わり、育まれてきた祭り等の伝統行事

漁業(育む漁業の振興を含む)

回復すべき

地域の人々と環境との関わり

子ども達の生活の一部であった海水浴、川遊び

海草採り、山菜、薬草採り、等の季節のレクリエーション

日常的レクリエーションの場としての成ガ島の設備

改善すべき

地域の人々と環境との関わり

海や川へのゴミの投棄

河川への排水処理

埋立・垂直護岸施設等の設置による自然形態の水際線の消滅

新設すべき

地域の人々と環境との関わり

地域の環境への理解を深め、愛情を育む環境教育

漂着ゴミ拾いや山の下草刈り等の環境維持ボランティア活動

自然環境の調査、自然のメカニズムの研究等の学術研究調査

市民および大阪湾域の子供達・市民の体験教育・学習の場づくり

地域の環境カルテづくりや、保全ゾーン、回復ゾーン等の設定

環境維持、環境回復等に関する具体的行動

表に示した再評価結果から洲本市南部地域の環境管理システム構築にあたっての基本方向を抽出すれば、

?豊かな自然環境、

?人々に安らぎを与える景観資源、

?地域に連綿として受け継がれてきた歴史的文化資源の継承、

?それらの調和から生じ、人々の五感を心地よく刺激する情緒的資源、

?これら風土に恵まれた人々の意識や感性、

?人的資源、また地域産業を含め地域の特性、

を総合的に評価しつつ環境面や社会経済面の問題に対応していくことが必要である。

3.2 環境管理システムの整備方向

基本方向に沿った環境管理システムの整備にあたって、人間と自然の関係を再評価しつつ、次のような整備構想を提案することができる。

?嘗て生活に根ざして存在していた環境を維持、更新するメカニズムを再評価しつつ、生活面や経済面における循環型社会システムを構築する。

?海陸一体の総合的な環境管理により、人間活動やそれが展開される様々な空間において野生生物をも含む自

然との共生を図る。

?環境教育・学習を進め、自然環境のモニターを継続実施し、地域社会の各セクターの参加による環境の維持・更新・利活用を促進する。

?大阪湾沿岸各地域や大学等研究・教育機関との広域連携・交流を推進して、外部の知恵と協力により地域現境を広域社会の中で位置づけ、連携・交流から生まれる知識や知見の共有と活用により、地域的・広域的環境問題の解決を図るとともに、環境の総合的機能を活用した地域発展を図る。

4. 緒言

洲本市南部の由良地域における総合的な東境調査を開始して2年間の短い間に検討したこの地域の環境の現状把握より、現在までに得られた環境管理システムの構築に関する結論は、環境管理システム構築の基本方向、整備方向に示したとおりである。

この地域の環境特性、永年にわたって培われてきた地域特性の把握に関しては未だ十分でない点があることは否めない。本研究は現在継続実施中であるので、更に内容の精緻化、具体化が必要であるが、今後の課題として、

(1)海陸環境の総合的調査・分析・評価の継続実施

(2)各分野毎の調査結果の総合化と望ましい環境管理システムの具体化

(3)環境管理システムの普遍化による閉鎖性海域の環境保全、回復、創造への寄与

(4)地域の優れた環境の広域社会での位置づけの確立

(5)具体化の方向としての、環境研究・教育モデル地区としての由良地域の整備の提案

を挙げることができる。

本研究は海域環境研究会が中心となり、在阪の大学、研究機関の参加により、また、洲本市並びに由良地域の方々の支援と協力の下に実施されている。また、研究実施に際し門田元京都大学名誉教授、矢吹萬壽大阪府立大学名誉教授にはご指導、助言を戴いた。

更に、本研究は(財)日本生命財団の研究助成を得て実施されたことを付記する。

終わりに臨み、関係各位に厚く御礼申し上げる。

参考文献

1.「洲本市南部地域における環境特性の把握と環境管理システムの構築」研究報告書、海域環境研究会、1996,1.

 

 

 

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